国際経済評論家「原田武夫」氏の論評
このような観点、つまり米軍と今回騒ぎになっている新型インフルエンザという二つの点と点を結ぶ、あり得べき“線”としてあらためてこの米空軍大学作成の「未来予測分析報告書」の続きを読んでみる。すると、近未来について概略次のような予測分析が記されているのである。
「2012年、NYの金融街・ウォールストリートを高エネルギー電波(HERF)が襲う。その結果、金融マーケットに欠かせないコンピューター・システムが全て破壊され、大混乱に陥る」
ちなみにインフルエンザの世界的大流行(パンデミック)を巡っては、昨年(08年)の段階で世界銀行が、そのマーケットに対して与えるインパクトについて予測値を公表している。それによれば、仮にこうしたパンデミックが発生した場合、世界経済には約3兆ドルもの負の影響があり、その結果、世界全体で成長率を5パーセント押し下げる効果があるのだという。国際通貨基金(IMF)は今年に入ってから、09年の世界経済について成長率は対前年比でマイナス1.3パーセントとなるとの予測値を公表している。そのことを勘案した場合、仮にWHOが新型インフルエンザについて「レベル6」、すなわち“パンデミック”であることを公表するような事態ともなれば、それだけで世界経済は大崩落する可能性があるとの予測が成り立つことになるというわけなのだ。
もちろん、米軍が上記のとおり過激な未来予測をかねてより公表してきた背景には、「あらかじめ劇的な事態が発生する可能性をアピールし、そのことへの備えを他者に行わせる中でビジネスを展開していく」という、いわゆる“戦略的PR”という発想が無きにしもあらずではある。実際、この報告書には米軍にとって死活問題である国防予算についてしばしば言及がある。まさに“これだけの惨事が起こり得るのだから、これだけの国防予算が必要なのだ”といわんばかりの記述なのである。
しかし、逆にいえばだからこそ米軍、そしてそれに群がる関連企業たちにとって、こうした惨事はある意味、「望まざる事態」とは言い切れない側面があることも否定はできないのである。そしてこうした米軍作成の文書は堂々と公表されているものであり、あたかも「分かる人には分かるように世界は動いている」といわんばかりの扱いである。その意味で、今回の豚インフルエンザを巡る騒動だけではなく、今後、世界を襲う“潮目”を私たち日本人が的確に読み解いていくためにも、丹念にインターネット上を中心とした公開情報分析を行っていくべき展開となってきているということができよう。(執筆者:原田武夫<原田武夫国際戦略情報研究所(IISIA) CEO>)


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